†悪夢のはじまり†

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 神様、神様。  これは罰ですか。  罪を……  禁忌を侵そうとした私を、  私達を……  このような形で引き裂くなど、 あまりに理不尽です。  天から絶え間無く注がれる純色。  純白の絨毯、そのたった一部分だけが薔薇色に染まっていた。  見渡す限りの白い絨毯が、じわりじわりと赤に侵食されていく。  横たわるあなたの身体を、じきに生命活動を終えるだろう身体を、私はただただ――強く、強く抱きしめた。 「讃汰!! いやだよぉ……っ。 先に逝かないで。 私を置いて……逝かないでぇえええ!!!!」  泣き叫び、むせび泣き――それでもあなたはもう指先一つさえぴくりとも動かさない。   『魅沙……』  耳元に残るあなたの言葉、あなたの吐息。    悲しくて、  切なくて、  辛くてちぎれそうで、 『魅沙……』  愛しくて、  愛しくて、  誰にも渡したくなくて――。 「いやぁああああああーーーーっ!!!!」  まるで切り離された空間、幻想的な聖夜の奇跡。  白い奇跡に見守られ、  私は、  私の、  生きる意味を、  失った――――。  
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