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その女性客は雫さんにエスコートされVIPルームに案内されて行った。
『有名な方なんですかね?僕は今日が初めてだからわからないけど綺麗な方でしたね』
『うん…。やっぱり男の子って綺麗な人がいいわよね?』
急に暗い表情になった茜さんに僕は精一杯の言葉を伝えた。
『茜さんだって充分に綺麗じゃないですか。それに僕は顔やスタイルだけで女性を判断するのは間違いだと思いますよ』
『水樹君って優しいのね。有難う』
そんな会話をしていると司さんに指示され僕は茜さんの席を外された。
『今日が初めての水樹にはちょっと荷が重いかもしれないがVIPルームに行って貰う。勿論1人じゃなく昴と着けるが彼女は【Legend】にとって特別なお客様だ。基本的に新人は挨拶に行く決まりだが失礼のないように頼む』
それが全ての始まりだった。夜の歌舞伎町でホスト初日の僕にとって今VIPルームに居る彼女が僕の人生を大きく変える事になるのだ。
『雫が早く来た理由はこれですか?』
『そうだ。これから水樹と一緒に着いて貰う』
僕には何が何だかわからなくて緊張と不安に襲われていた。
『そう緊張するな水樹。僕も一緒だから大丈夫さ』
『はい…。ところでVIPルームの方はどんな方なんですか?【Legend】の特別なお客様なんですよね?』
『そうだな水樹は夜は初めてだからな。今VIPルームに来て居るのは歌舞伎町の風俗業界でトップ歌舞伎町の嬢王と呼ばれている立花 咲夜(タチバナサクヤ)様だ』
司さんに説明され余計に緊張を隠せない僕に昴さんは気付いていた。
『彼女はどの店に行っても今まで1度も指名はしていないから軽く挨拶するだけさ』
歌舞伎町の嬢王。立花咲夜。そんな凄い人に僕は着くのかと思うと挨拶するだけであれまともに話せる自信もなかった。
『今は雫をつけているから抜いてお前達を着けるから準備しておいてくれ』
『了解です。水樹も肩の力を少し抜いてリラックスだよ』
司さんがVIPルームに向かった後で僕は昴さんから店の内部事情をある程度細かく説明された。
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