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『直ぐにわかるわ。そうね…ヒントはこの店の中央にあるピアノよ。あれはただの飾りじゃないのよ』
確かに店の中央にはピアノがあった。僕はただの飾りだと思っていたが違ったのだ。そして直ぐに昴さんが戻って来て言った。
『伝えて来たよ。雫が準備してるって』
雫さんが準備?僕は何が何だかサッパリわからなかった。しばらくするとピアノの音が聞こえて来た。穏やかでクラッシックの有名な曲だった。
『生演奏…』
『いろんな店があるけどコレを聞けるのは歌舞伎町で【Legend】くらいなのよ』
『それがウチの売りなんだよ水樹』
その時の僕は驚いたのは確かだけれどそれよりも何か違和感を感じた。
『水樹?どうした?』
『余りない光景だから驚いたのかしら?』
『………わかった!!あの…ピアノの調律が少しズレていて…違和感を感じたので』
『調律?アナタそんな事がわかるの?』
『はい…一応なんですけど音大とかボイトレに通ってて』
調律が少しズレているとはいえ僕は入店したばかりだしピアノに詳しい人や絶対音感の持ち主でない限りは気にもならないだろうと僕は思っていた。
『お前…凄いな。なら店が終わったら調律してくれ水樹』
『はい!!勿論です!!』
すると咲夜さんが大きく溜め息をついて立ち上がった。
『昴!!この店の質を落としたくないなら一緒に司の所へ行くわよ!!』
『ちょっ!!咲夜!?どうしたの!?』
司さんの元へ行こうとする咲夜さんに仕方なく昴さんは着いて行く事になり僕も着いて行った。
『司!?ちょっといいかしら!?』
司さんは事務処理をしていたらしく何が起こったのかわからず驚いていた。
『えっ!?いかがされましたか!?』
『今直ぐに雫の演奏を中断させて頂戴。そして直ぐに水樹にピアノの調律をお願いするわ』
『咲夜!?今直ぐって!?』
『それはちょっと…』
司さんも昴さんも突然の事に驚いて困っていた。
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