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『咲夜さん…今は演奏中ですし他のお客様にもご迷惑かと思います。調律は店が終わってから責任を持って僕がしますから…』
咲夜『この店の質が落ちても構わないと言うのね!?』
『いえ…そんな事は思っておりません!!』
僕の言った事でこんな事になるなんてと僕はしどろもどろになっていた。
『私が他店よりも【Legend】をひいきにしてるのはスタッフ全員が知ってる事よね!?例えピアノのズレがお客様にバレないからとこの場をやり過ごした所でそれが正しい完璧なサービスと言えるのかしら!?何か理由が必要ならば私がこの水樹に場内入れるわ。勿論ボトルも入れさせて頂くつもりよ。それと昴にも場内を入れる。コレでどうかしら!?それとも和真を今直ぐに呼びましょうか!?』
『かしこまりました…。水樹!!直ぐにピアノの調律を頼む…雫を止めてくる…』
『はい!!わかりました!!』
僕は滅茶苦茶な事を言ってしまったと後悔した。僕のせいでお店に迷惑をかけてしまったのだから。それと同時に僕は立花咲夜という女性の凄さに圧倒された。
『昴はお客様のフォローに回ってくれ。立花様は雫とVIPルームへお戻り下さい』
『いいえ結構よ。私の我が儘ですもの私にも責任があるわ。こちらで見させて頂戴』
僕はもう必死に早く調律を済ませようと作業に入った。
その間ずっと立花咲夜は僕の作業を見ていた。
『あの…咲夜さん?席に戻ってて下さい。直ぐに終わらせますから…』
彼女は微笑みを浮かべて言った。
『いいのよ。気にしないで続けて』
気にするなと言う方が無理だ。それでも何とか短時間に調律を終わらせ僕は司さんに報告しに向かった。
『司さん!!調律が終わりました!!』
『そうか…ご苦労様。丁度良かった。店長!!今日から入店した水樹です』
高そうなスーツを着こなし司さんの横に立っていたのが【Legend】の店長である岬 和真(ミサキカズマ)さんだった。僕は面接はオーナーに受けた為に初対面だった。
『水樹です!!宜しくお願いします!!』
『ああ宜しく』
『直ぐに雫を抜いて演奏して貰うから水樹は7番テーブルの昴のヘルプに戻ってくれ』
『はい!!』
そして司さんが雫さんを呼びに向かい僕は7番テーブルに戻った。
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