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思い出しただけで吐き気が襲ってくる。
ケンは頭を左右に振りながら、必死で忘れようとしたが、無駄だった。
玲司だけではない。
過去にケンを強姦し、自分の手元に置きたいがためにケンを養子に迎えて愛人にしようとした男たちは何にもいる。
好きで同性に抱かれているのではない。
好きで養子になったのではない。
ただ、ケンが欲しているのは『幸せ』だった。
欲しくてたまらないモノが手に入らない苛立ちを覚えながら、ケンは静かに眠りの世界へと落ちていった。
一筋の涙を頬に残して。
早速、アヤの調査が始まった。
まずはケンという人物がどういう生い立ちを持っているのかを知るため、彼が現在勤めているジムの会員になることに決めた。
剣道は昔習っていたが、その他のスポーツは一切やったことがない。
経験があるとすれば、学校の授業でやったサッカーやドッチボールや卓球やバトミントンなど。
ジムだから、筋力トレーニングコースのみでいいかと思い、アヤは窓口で手続を取りながら、さりげなく受付担当に話を聞くことにした。
「このジムのインストラクターで、一番人気のある人っているのか?」
「はい、いますよ。鷹取健先生っていうインストラクターです。」
「その人の指導って受けられるのかな?」
「少々お待ちください。」
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