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ケンのスケジュール確認をするため、受付担当は左側にあるパソコンを操作する。
マウスとキーボードを扱い、ケンのスケジュールが画面に映し出された。
受付担当は画面を確認しながら、アヤに告げた。
「お待たせしました。鷹取先生ですと、個人指導は既に予約が殺到していまして、早く取れても半年後になります。」
ヨージの調査通りの返答だった。
心の中で『本当か?』と疑いながらも、アヤは再度尋ねた。
「個人指導しかしていないのか?」
「少々お待ちください。明日の午後三時の水泳教室の担当インストラクターが鷹取になっています。申し込みしますか?」
「ああ。そうしてくれ。」
水泳教室に参加するため、申し込んだアヤはやりたくもない色仕掛けで受付担当を誘惑した。
オミ曰く『探偵はどんな手段を使っても、情報を得るものなの!』
(俺にヨージみたいなことをしろってか?)
散々ごねた挙句、結局はヨージを参考にする羽目になったアヤは、内心では悪態を吐きながら作り笑顔で受付からケンに関する情報を聞き出していた。
アヤが受付担当と話している頃、事務所に顔を出したケンはいつもと違う雰囲気だと察した。
(何だ?)
と思いながら、自分の席に着いたケンはそこでいつもいるべき女性陣がいないことに気が付き、辺りをきょろきょろと見回しているケンに、同僚である加持が教えてくれた。
「今、受付のところにイケメンが入会申込をしに来て、女性陣が一目見ようとそっちに集まっているんだよ。」
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