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依頼が来たのはお昼を過ぎた頃だった。
元刑事であり、現在は『藤宮探偵事務所』の所長である藤宮蘭こと、アヤは幼馴染で助手兼総務担当の月夜野臣と二人で運営していた。
刑事時代に培っていた情報網が幅広いため、依頼が来ると一週間で解決してしまうという敏腕探偵でもあるが、性格的には社交向けではないので助手であるオミが常にフォローに回っていた。
何故アヤが刑事を辞めて探偵になったのか。
それは、家族が警察組織の犠牲になってしまったからだ。
刑事であったアヤは優秀で出世株の一人だった。上司からも期待され、同僚からも慕われていた半面、性格的な問題で毛嫌いをしていた同僚もいたが、アヤは常に自分の信念で事件を追っていた。
上司からは昇進試験を受けて、幹部に昇進するよう何度も勧めていたが、現場で働きたいアヤは常に断っては現場で動いていた。
本音を言うと、デスクワークが嫌いだから現場仕事の多い刑事になったのだ。
ところがある事件で、容疑者が警察組織の身内であることが判明すると、幹部連中はすぐさま圧力を掛けて事件を揉み消そうとした。
当然、アヤはそれに対抗しながらも必死で容疑者のアリバイや犯行動機などの聞き込みを続け追い詰めたのだが、逮捕直前に容疑者が自殺したために事件は最悪の結末で終わってしまった。
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