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当然、自分たちの間には広文と雅文の二人の子供がいるにも拘らず、他家から養子を取るのは反対だと薫子は怒り、玲司に養子を取ることを辞めさせようと説得したが、断固行うという一言で話は終わってしまった。
薫子からその話を聞かされた息子たちも度々実家に訪れてはケンを養子にすることを反対だと伝えても、返答は『NO』だった。
それからというもの、常に会社に訪れていた玲司が来なくなり会社の人間も心配になって重役が自宅を訪れたが、玲司は会おうともせずにずっと部屋でケンと一緒に過ごしていたらしい。
結果、死体となって発見されたのだ。
この時、ケンはいつものように仕事に行っており、玲司が亡くなった事は職場のニュースで知ったと証言した。
一対一でケンを取り調べたヨージは、異様な感覚に襲われていた。
何故か、ケンという青年がすごく気になってしまったのだ。
そこでヨージは自分が使っている情報屋にケンの過去を調べてもらったところ、ケンは過去に五回も養子縁組の手続を取っていたのだ。
しかもどれもが成立する前に養子を取る人間が突然死していることも判明した。
ヨージなりに彼を調べ続けていたが、その五回とも完璧なアリバイと証人がいることから事情聴取だけを受けて帰されている。
三回目の事件の時もヨージと同じことを考えた所轄の人間がおり、ヨージはその人物を訪ねに行ったが何も答えてはくれなかった。
『過去のことは忘れた。』
その一点張りで、ヨージは仕方なく諦めた。
そうしているうちに、捜査本部は解散になってしまい事件は少数で進めることになったのだが、結局は犯人が見つからないまま月日だけが流れているのだ。
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