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「アヤ、この件に関して警察が騒ぐような問題じゃないと思っているだろ?」
「ああ。」
(こいつ、きっぱりと言ってくれるぜ。)
顔を引き攣らせながらも、ヨージは話を止めることはなかった。
「俺の意見を言わせてもらう。過去五回、養子縁組を申し出た人間が今回と同じ不自然な死に方をしているんだ。」
「同じ不自然な・・・」
「死に方?それ、どういう意味なの?ヨージ君。」
これには黙って聞いていたオミも興味を持ったのか、ヨージに聞いてみる。
すると、ヨージはタバコを吸いながら説明した。
「五人とも、全裸で発見された上に体には体液が付着。最初の三人は心臓発作で、他二人と鷹取氏の体内からは致死量の睡眠薬も検出されていた。」
「偶然・・・・なの?」
「いや、偶然にしては出来過ぎている。この調査書でも、その死因は詳しく書かれているが、ケンに関しては全ての事件で白だ。」
「そう。結局事件は迷宮入りになり、捜査本部も一年後に解散。警察関係者がいくら調べても、何も出て気やしないから諦めたわけ。」
「で、ヨージ君は諦め切れないからアヤ君に依頼するんだ?」
「そういう難解な事件、得意だろ?アヤ」
「・・・ああ。好きだな。」 不敵な笑みを浮かべるアヤを見て、ヨージもフッと笑う。
昔からの二人の意思の疎通である。
二人を無視して、オミはヨージが持ってきた操作書類をジーッと見つめていた。
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