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学園祭後。
二日間にも及ぶ、松蔭高校と翠嵐学園の両校主催による合同学園祭が最後の花火が上がったことにより、無事に終わりを告げた。
今回の合同学園祭が、過去に開催された中でも最も評判が良かったため、両校の校長と教頭が出来れば毎年開催して欲しいと教師と生徒に提案したのだが、亮輔の一言で即座に却下された。
『準備する生徒の気持ちを考えてください。それでも毎年開催したいのなら、先生方で勝手にやってください。生徒は一切協力しません!』
これにはさすがの教師たちも白旗を上げ、提案は白紙になった。
同時に、両校の生徒会及び実行委員が疲労のため、授業に出られない状態が数日続いたため、教員たちの悩みの種が生じたのも、白紙の原因の一つだった。
特に今回の合同学園祭で最も貢献した和臣は、律と恋人同士になったものの、連日により貯まっていた疲労が一気に出てしまい、一週間も欠席する羽目になってしまったのだ。
律に抱かれた後、和臣はタクシーで家に帰ったのだが、その夜から、高熱を出してしまい、医者に行ったところ『疲労と風邪。』と診断され、現在に至っている。
この事があり、教員たちや生徒会のメンバーも今回の件で和臣に頼りっぱなしだと改めて実感し、生徒会のメンバーは彼の欠席の間に休んだ分のノートを必死で取り、教員たちは公休扱いにした。
まさか律に抱かれたことで体調を崩したなんて、口が裂けてもいえない和臣は罪悪感を抱きながらも教員たちと生徒会メンバーの厚意を甘んじた。
一週間が経ち、ようやく起きられる状態になった和臣のところに、二週間以上も顔を合わしていなかった希がお見舞いに訪れたのだ。
自分が原因で彼女を苦しませてしまったと思っている和臣は、どう希に謝ればいいのか悩んでいた。
謝罪の言葉が見つからないまま、和臣は久々に希の顔を見た。
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