第四章:揺れる想い~告白編~

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「お千津さんをありがとうございました」 まさか華乃が迎えにくると思ってなかった近藤は、軽く目を見開く。だって彼女は… 「歳から聞いてたが……もう片は付いたのか?」 「ええ。ボコボコにしてきましたよ」 「………そうか」 その様子が想像できて思わず苦笑する。やられたら倍返しにする彼女のことだ。さぞや悲惨な光景だっただろう。小倉を敵にまわすなんて馬鹿なことをしたものだ。 そこでふと思い出す。 「そういや永倉くんが後を追ったとも聞いてたが、彼に会わなかったのか?」 「ああ、会いましたね」 ケロリと答えた華乃に違和感を感じた。 「………それだけか?」 「何が言いたいんです?」 「何がって………」 山崎同様、永倉と華乃の気持ちに気づいていた近藤は、彼女の態度があまりに落ち着いていたことに疑問を持った。 いつもだったら赤くなるなり、何らかの動揺を見せるのに。 (……まさか) 勘の良い彼は、ある仮定にすぐに思い至った。 「……切ったのか?」 華乃は一瞬キョトンとした後、くすりと笑った。 「おっしゃってる意味がさっぱり分かりませんね。それより彼女を連れていきますよ。今夜は私の部屋に泊めますので」 「小倉!」 千津を抱えてさっさと出て行こうとする彼女を呼び止める。 すると華乃が不機嫌そうに振り返った。 「ちょっと大声出さないで貰えます?彼女が起きちゃうじゃないですか」 「……いいのかよ?」 「大丈夫ですよ。血が付いた服も着替えてきましたから。彼女を汚したりしたら大変ですもんねぇ」 「……分かっててそう言ってんだろ」 「そう思うなら、貴方もこれ以上は無駄な問答だって分かってるんじゃないですか?」 返す言葉が浮かばず、近藤は押し黙った。 そんな戸惑いを隠せない彼の様子に、華乃はやれやれと肩を竦めて言う。 「貴方らしくもない。大事な仲間に虫が付かなくて安心すればこそ、気に病む必要はないでしょうに」 何だかんだいって甘いなと笑みが漏れる。彼のこんなところは嫌いじゃない。 「もう行きますよ。いい加減腕が疲れてきたんで」 「……………山崎くん」 「は?」 「はいは~い。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~ン」 近藤の呼び掛けに応じ、天井裏から現れた山崎に、華乃は呆気に取られた。 「貴方ね……なんつーところから出てきてるんですか」 毎回毎回。もっとましな登場は出来ないのか。
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