第四章:揺れる想い~告白編~

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「ププッ、駄目だよ小倉ちゃん。お偉~い参謀殿にそんなこと言っちゃあ」 「は?三坊?」 「「参謀」」 山崎と伊東が声を揃えて言う。 「参謀…?て言えば、位の高い指揮官のことじゃないですか。は?誰が?」 「わ、た、し、が」 得意気に伊東が胸を張ると、華乃は思いっきり顔をしかめた。 「はっ、冗談。寝言は土の中で言って下さい」 「小倉ちゃん小倉ちゃん。それ遠回しに死ねって言ってるでしょ」 「ふん。一度で理解できないなんて、君の脳みその小ささが窺えるよ」 「伊東参謀も落ち着いて。女の子相手に大人げないですよ」 「「さっきからうるさいですね。ちょっと黙ってて下さい」」 「……君たちって何だかんだで似た者同士だよね」 小さい声でボソリと呟く山崎。二人の耳に入ったらまた噛みつかれてしまう。 「なるほど。昼間に話してたのはそのことだったんですね」 「そうだよ。まったく、邪魔が入って大変だったよ。ついでにその時、邪魔した誰かさんの除名を進言したんだけど、残念ながら却下されてしまってね」 華乃はせせら笑う。 「浅はかですね。私は新撰組に居候してるだけであって隊士ではないんです。だから貴方に私をどうこうすることは出来ませんよ。もちろん、近藤さんにも、ね」 伊東は華乃の鋭い眼光に気圧され、思わず唾を呑み込んだ。 だが相手はただの小娘だと思い直し、再び余裕を取り戻す。 「自分が新撰組とは無関係だというなら、平助君から離れて貰えないかい?大切な彼を、君の毒牙にかける訳にはいかないんでね」 「残念。それは局長命令ですから。文句があるなら近藤さんにお願いします」 「…………彼の命令には従わないんじゃなかったのかい?」 「別に聞いてもいいなと思った命令には従いますよ」 それは命令とは言わない。 伊東は強くそう思ったがあえて突っ込まなかった。彼女との会話は精神的に疲れる。 「……君と話してると頭痛がしてくるよ」 「それは嬉しいですね」 「く…っこの……」 「はいはいはい!そこまで!」 それまで黙ってことの成り行きを見守っていた山崎が、二人の間に割って入る。 「小倉ちゃん。この子のこと忘れてなぁい?」 千津を見て「あ」と呟く華乃。 「もう、貴方のせいで無駄な時間を過ごしちゃいましたよ。行きましょう山崎さん」 こっちの台詞だ!と激昂する伊東を残し、華乃たちは再び自室に向かって歩き出した。
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