第五章:揺れる想い~決着編~

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土方は急いで薬の支度をする。 「ったく、無茶しやがって」 「仕方ないですよ。あの娘を死なせたら華乃さんが悲しむんですから。それに、久々に身体を動かすいい機会でもありましたし」 そこで沖田はふと真剣な顔をすると、目を細めて土方を見た。 「……みんなには言わないで下さいよ?」 己の病のこと。 すると土方は呆れたように言った。 「んな何度も釘を刺さなくったって分かってる。けど、いつかはバレるぞ?」 「その時はその時です。でも、それまでは同情されるのはごめんですから」 「とはいえ、小倉ともたまに稽古してんだろお前。あれも負担が掛かってんじゃねぇのか?」 「………」 「知らねぇ内にお前に無理させてるって知ったら、あいつ怒るだろうなぁ……」 主に俺に。と、土方は想像してゾッとした。洒落にならない。 「……やっぱ小倉も駄目か?」 「な!?一番知られたくないですよ!もう手合わせしてくれなくなるじゃないですかっ」 「もしバレたら殴られるぞ」 「よけます!」 あ、なんだ。一応覚悟はしているのか。 思わず土方は感心した。じゃなくて。 (……勘の鋭い奴は気づいてそうだがな) たぶん斎藤くんは確実だと思った。彼はたまに総司を心配する素振りを見せていた。 (あとは蒸とか……てゆうか、案外みんな気づいてそうだよなぁ) 実はみんな、総司の性格を考慮して黙ってるだけじゃないかと思う。何も言わないのは、きっと総司が話すまで待っているのではないか。 (……ま、あくまで予想だけどな) そうして思考を終わらせると、土方は沖田の為に薬を煎じ始めたのだった。 そして翌日。 「ん……」 「あ、目が覚めましたか?」 まだ眠たげに瞼を擦る千津を、華乃は上から覗き込んだ。 「あ…れ…?ここは…?」 「私の部屋ですよ」 華乃は、ムクリと起き上がる千津の背中に手を添えながら言った。 「昨日、貴女は気を失ってしまってたので、一晩だけこちらに泊まって貰ったんです。あ、ちゃんと家の方には連絡してますから安心して下さい」 「気を…?」 そこで昨日の記憶が蘇ったのだろう。ブルリと肩を震わせる千津に、華乃は申し訳なさげに眉尻を下げた。 「怖い思いをさせてすみませんでしたね」 「そんなこと…!」 千津は慌てた。そもそも、彼女の忠告を聞かなかった自分が悪いのだ。
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