旅へ

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暖かい飲み物と、簡単な軽食を頼み、それを待つ間に兄貴の身体が落ち着くのを待つ。 嗚呼そうか。もう本当に少ししか時間が無いんだ。1日がもっと長ければ良いのに。そうすれば、もっと兄貴といられるのに。 そんな事を考えるうちに、ふと このまま兄貴と死んでしまった方が楽なのかもしれない、と感じた。 その方が楽なのかもしれない、その方が一緒にいられるかもしれない、と。 そんな事を考えると 「そんな事はいけない」 と何かが叫ぶ。 「お前らの人生だから好きにしろ」 と何かが囁く。 すると、 「生きていればきっと何かがあるから」 と何かが叫び 「兄貴が死んだら、無力なお前はどうなる?それならば、いっそ死んでしまえ」 と何かが囁く。 叶わないし、ありもしないのに 「時間よ止まれ」 だなんてバカみたいな事を念じてみる。 「時間よ戻れ」 なんて願ってみる。 どれも叶わない願いなのに。
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