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炎が勢いよく猛る。
灰が風に乗って、オレの頭や側に止めたレンタカーのボンネットの上に舞い落ちる。
舞い落ちてくる。
絶望という言葉の全てが遥か上空からオレの頭、体、魂を目掛けて。
舞い落ちる。
オレが失いたくない全ての証が、軽々しく、いとも簡単に指の間から滑り落ちてゆく。
足下に散らばった灰色の幸と絶望を、ただ眺めるだけしか出来ない。
それでも炎が燃ゆる間は、何度も何度も願い続けた。
この思いが届くように。
風が吹き荒れ、炎を揺さぶる。ざわめきだす雑木林の緑が儚く美しい。
野良猫が1度こちらを見て足早に消えていく。
電波塔の脇に止まる白いバン。
お墓参りに来ている老夫婦。
あなたを打ち抜いた手斧が投棄された林緑の奥、願いを熨せた炎が真っ直ぐに伸びていく。
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