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彼女は、それ以上は語らなかった。沈黙が沈黙を呼び、辺りは空よりも暗くなる。暗がりにぽっかりと浮かんだ彼女は笑ってなかった。
「ねぇ、ところで」
「何でしょう」
「これは何度目の終わりかしら」
泣いてもなかった。
楽しんでもなかった。
怒ってもなかった。
悲しんでもなかった。
拗ねてもなかった。
戸惑ってもなかった。
沈んでもなかった。
苦しんでもなかった。
「常に一度目の終わりです」
「そう」
何もなかった。
「それならいいわ」
それは嘘だ。
「終わりは一度しか訪れないものだから」
それ、は何だ。
「それなら、いいわ」
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