惑乱Cavatina

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惑乱Cavatina

窓から見える景色は雪明かりで仄かな銀色に光っていて、妖美な白がふっと現れては消えていく。 明日は学校に行くのが面倒ね。 なんて漏らしながら、私はラジオの電源を入れた。 真夜中を告げる時報。 クリスマスソング特集の言葉を聞いて、すぐにラジオを切る。 今日はクリスマスイブなんだと思い知らせて、無性に苛々した。 誰か私を――。 そう思ったところで首を左右に振り、携帯電話に視線を落とす。 きっと私は、この携帯電話が赤く輝く瞬間を待っているんだ。
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