午前十時

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「違う。やめてくれ。メタファーなんか。僕はただここで座っていただけだ。特に理由はない。ねぇ、そんなことに理由を求める必要はないと思わない?理由を探せって言われればそりゃ幾つかでっちあげることはできるけどさ。僕はそういうのがわりかし得意なんだ。それよりその歳でメタファーなんか、滅多に言うもんじゃないぜ正直な所」 女の子は納得のいかない様子で「そう」と呟くと男の隣に座った。 男は黙って人混みをみつめていた。相変わらず七通りの人達が何人も通り過ぎていく。
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