午前十時

3/7
前へ
/16ページ
次へ
気が付くと目の前には女の子が立っていた。 たぶん14歳だ。男は思った。茶色っぽいパーカーを着てフードもしっかり被っている。フードを被るのは14歳の女の子くらいだ。 流れる人の中で泊まり木のように少女は佇んでいた。 「なにをしてるの?」 少女が尋ねた。 「特に」 男が答える。 「人にみられていた」 男が困ったように肩をすくめる。 少女は怪訝な顔をする。 「それは勘違いじゃなくて?あなたは特別な人なの?それとも何かのメタファー?」 「メタファー!!!」 男は驚く。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加