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それから2人で地元へ戻ると、ふと数也が立ち止まった。
「どしたの?数也。」
「あぁ…」
ふと数也の目線の先を見ると…とある2人の姿が見えた。
「あれ…祐樹君と歩ちゃんじゃん。」
手を振る私に向こうにいた2人が気付いた。
「数也。それに奈緒。何してるの?」
そう言ったのは歩だった。
数也と付き合い出して私は祐樹君や歩ちゃん。それに隆司君や綾ちゃんとも何度か会っていた。
「今大学からの帰りなの。歩ちゃんは?」
「今からファミレスで祐樹の勉強の手伝い。」
「別に手伝えなんて言ってねぇじゃん。」
「手伝わなきゃヤバイじゃん。祐樹は。」
そんな些細な会話をして私達は別れた。
「……ねぇ祐樹。」
「ん?どした歩?」
静かに話し始める歩に何かを感じた。
「私、思うんだけど…多分近い内に数也と奈緒別れると思うよ。」
「何で?」
どこか寂しそうな顔をしながら遠くを見つめる歩が口を小さく開いた。
「数也の中に……まだ三春がいるから…」
「えっ?」
意味深な、そして何となく感じる確かな言葉を聞きながら数也と奈緒の背中を見つめる2人。
「行こうか。」
振り返りながら笑う歩を見つめる祐樹。
この後ファミレスでケンカなんかする事も知らずに歩き出した。
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