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「…よーするにここは……」
「だから違うって何度も言ってるじゃん。」
外では赤い服を着た店員が客を呼ぶ為に寒い中必死になっている。
そんな光景を横目に私はファミレスで祐樹の勉強を手伝っている。
「歩~。もぉ良くね?」
「ダメだよ祐樹。」
「だってさぁ~今日はイブ前日だぜ?恋人同士が愛を語り合う…」
「私たちが語るのは勉強のことだけでいいの。」
「え~っ!!」
『一緒の大学に行こうね。』
高校を卒業し、同じ目標に向かって頑張った私達。
1年間予備校で勉強し2人でちょっと名の知れた大学に行った。
「だから何回も言ってるじゃん。」
「…ってかもう良いじゃん?」
「ダメだよ。」
何かと言えば私達は言い合っていた。
「ってか歩はマジメ過ぎるんだよ。別に今日1日ぐらい平気だよ。」
「そー言ってこないだの試験危なかったじゃん。」
「危なくても何とかなったじゃん。」
「こないだは何とかなったかも知れないけど今度はダメかも知れないじゃん。」
知らない内に大きくなっていく2人の声。
「ってか歩は細か過ぎんだよ!」
「じゃあ勝手にすれば?もう知らないから!!」
そのまま私は祐樹の顔を見ず店を出た。
「歩!!」
祐樹の声を背中に私は寒い夜の街へと歩き出した。
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