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「お姉ちゃん……ふーちゃんも一緒に行きたいの……」
「うっ……」
吹雪はウルウルした目で上目遣いをして、そう頼んでいる。
その上目遣いで美咲は少したじろいだが、まだ折れはしないらしい。
何が美咲をそこまで食い下がらせているのか。
……まぁ、それも時間の問題だと思うけど。
「美咲……お姉ちゃん……?」
更に吹雪は身を乗り出して美咲に近付き、今度は名前を呼び始めた。
……どうでもいいけど俺の膝の上に乗るなよ……
「うぅ……分かったわ……吹雪ちゃんも一緒に行きましょう」
多分それが決め手だったんだろう。ついに美咲が折れた。
「ホントっ……!?美咲お姉ちゃん大好きなのー……!」
「ウホッ!!」
そして吹雪は余程嬉しかったのか、それまで距離を置いていた美咲に抱き付いた。
よかったな美咲。吹雪に気に入られて。
「あのー……一体何の話をしてるんですか?」
そして俺の正面に座っている母さんはこのやり取りを、訳が分からないといった様子で見ている。
…………母さんが不憫で仕方がない。
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