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「あー、楽しかった!また行きましょうね?吹雪ちゃん。あっ、宋一郎はまた行きたいって言うなら一緒に行ってあげてもいいわよ」
そして今は美咲の家の前に到着して、美咲は両腕を空いっぱいに伸ばしながら満面の笑みを俺と吹雪に向けてそう言ってきた。
……すごい上から目線だな。
行くのはいいけどもう俺は奢らないからな?てか、奢れないからな?
そもそも何で買い物に行くことになったんだっけ?
しかも結局は美咲の家まで荷物持ちにされるし。
ウサギのぬいぐるみとテディベアだけだったけど、それを入れる袋を美咲が買ってすぐに捨てやがったからかなり恥ずかしかったんだぞ。
「美咲お姉ちゃんまた遊んでなの……!」
「ええ、勿論!吹雪ちゃん……ぎゅ~ってしていい?」
「うん、いいの……!ぎゅ~……!」
…………これ、何ぞ?
吹雪と美咲はお互いに背中に手を回し、あたかも別れを惜しむ姉妹の様な雰囲気が完成している。
「じゃあ泊まる準備してくるからちゃんと待ってなさいよ?」
そう言うと美咲は、俺の返事も待たずにそそくさと家の中へ入っていった。
……どうやら俺は最後まで振り回されるようだ。
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