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「泥棒猫。なの……」
「…………」
「ふにゃっ!?」
吹雪は俺の後ろから、家政婦は見た的な感じで覗き込むようにして彩夏を見ながらそう呟いた。
そしてその言葉に彩夏は吹雪の方に顔を向けて目を見開き、猫の様な声を出して驚いている。
うん。まぁ……あれだよ。言葉に意味はないんだと思うよ?
吹雪は母さんが撮り溜めしていた昼ドラのビデオをたまたま一緒に観ていて、その言葉を真似しただけだろう。
…………タイミング良過ぎるけど。
「イチロー君!ブッキーに泥棒猫って言われたよぉー!?」
「ああ、そうだな」
「ふぇっ!?リアクションそれだけ!?」
「まぁな」
「うわーん!?イチロー君はもっとひどいよー!?」
俺の言葉に遂に彩夏はマジ泣きしてしまった。
新年から騒がしい奴だな。
だいたい彩夏の言動に一々リアクションしてたらこっちの身が保たないんだよ。
……てか、ブッキーって吹雪の事か?何か不器用な人みたいになってるけど他のあだ名は思い付かなかったのか?
「女狐。なの……」
「びえーん!?」
これじゃあどっちが年上か分からないな。
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