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「そう言えば彩夏は何でこんなに遅かったんだ?他に何か用事でもあったのか?」
俺はまだ客が来てないことを確認してから、後ろでまだ額を押さえて痛がっている彩夏にそう尋ねた。
着物を着てくるだけならそこまで時間は掛からない筈だが、彩夏は6時頃にここを出て昼頃に戻ってきた。
……まぁ、そこまで気に留める程の事じゃないけどただ単純に知的好奇心を掻き立てられただけだ。
「いやぁ~!別にこれといった用事はなかったんだけどね?着物が中々ちゃんと着れなくて」
彩夏は恥ずかしそうに頭を掻きながら、少し舌を出してそう返してきた。
そんな事だろうと思ったよ。
「そうだっ!!イチロー君が1から教えて…」
「ごめん。それ無理」
「断るの早いよー!?」
だって、何となく言うこと分かったんだもん。
男の俺が着物の着付け等を教えれる訳がない。
それからは、大した問題も起きずに刻々と時間だけが過ぎていった。
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