雪と共に来た出会い

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そう言って美咲は奪った青いタオルではなく、ピンク色のタオルを俺に投げ付けてきた。 そのタオルからは確かにほんのりと美咲の匂いが漂ってきて、美咲のタオルだという事を物語っている。 俺が意図的に嗅いだんじゃないからな?投げ付けられた時に微量の風と一緒に鼻に入ってきただけだ。 てか、タオルを替える意味は? 訊いたら殴られそうだから訊かないけど…… 「美咲は何でタオルなんか持ってきてるんだ?」 「う、うるさいわね!?どうだっていいでしょ!!早く拭かないと返して貰うわよ!?」 俺がそう尋ねると、美咲は顔を赤らめてそう言ってきたので、取り敢えずまた奪われる前に体を拭いた。 そんなに怒らなくても……そっちがタオルを奪ったのに。 「ありがとう、美咲。タオルはちゃんと洗ってから返すから」 俺が体を拭き終える頃には掃除も終わっていたので、俺は更衣室へ向かう為に立ち上がりながら美咲にそう言った。
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