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俺は百階建てのビルで働いている。
自慢にするべきなのか、苦労の種にするべきなのかは分からないが、俺の職場はこのビルの最上階である。
当然、普段はエレベーターが稼働しているのだが、夜間は、やはり当然エレベーターは止められる。
残業している社員の為か、結構遅くまでは稼働しているのだが、余りに遅くになると止められてしまうのだ。
その日、俺は残業をしていて、気付くとエレベーターが止まる直前だった。
急いでパソコンでデータのバックアップを取り、電源を切る。
立ち上がって帰り支度をしていると、俺と同じく残業をしていた同僚の加藤も、そろそろ帰ろうかと、支度をしていた所だったのが見えた。
ここはビルの百階だ。
もしエレベーターが止められたら、非常階段で一階まで地道に降りるしかない。
それは流石に避けたい所だ。
「お、お前も帰る所か。じゃあ一緒に行こうぜ。どうせ、ここの鍵も閉めなきゃならないし」
俺と同じく、俺が居た事に気付いた加藤が声を掛けてきた。
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