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人差し指と中指に挟んで私の名が記入してあるカードを見せつける。
なんて身長のある人。
第一印象は、それ。
中途半端な時間、電車に乗っているなんて営業マン?一見間違えればホストみたいな顔立ちで、仕草で。
ほんの数秒だったけれど見とれてしまった。
「高沢知百合さん?」
もう一度名前を呼ばれて我に返る。
「ハイ」
返事する私に笑顔を向けてカードを差し出す。
「ありがとう……ございます……」
こっちに来てから誰かと話すことが久しぶりに感じた。だからか何故か緊張する。
じゃあね、と背中を向けるその人の笑顔、家で飼っているコーギー犬みたいだな、って思った。
数歩進んだその人に声を掛ける。
「──待って!」
余りにも大きな声に驚いて振り向いたその人の腕、捕まえる。
「お礼がしたいですっ!名前と、連絡先、IDとか教えてください──」
多分私は、
寂しかった。
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