第二話 笑う犬

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 午後七時ちょっと過ぎ。雄一は二人の友達と夜の街にいた。 「よおユーイチぃ、いいのかよまだ帰んなくて」 「いいんだよぉ、今日はれ……妹がメシ作ってるから」 「おめー自炊だもんなあ。俺なんて帰ればメシ用意してあってよ、邪魔でしょうがねえ」 「大体外で食っちまうもんなー」  雄一以外の二人の高笑いが夜空に響く。 「あー……でも、俺そろそろ帰っかな」 「なんだあ? 妹が心配か?」 「雄一シスコン?」  そう言って、二人はまた笑った。 「お前ら酒入ってるみたいなテンションだな……」 「おーよ! 脳からアルコールが分泌されてんだよ」 「てんだよ!」 「…じゃーな」  あいつらとは合わないかな――と思いながら帰り道を歩む雄一だった。
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