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れいんは音もなくバット男の足元に入り込んだ。そして地面に手を着きブレイクダンスのよ
うに体を回転させる。バレイダンサー並の柔らかさで足を回し、見事巨人を地面に転がした。
よし!
れいんはすぐに体勢を元に戻し、仰向けになった男に馬乗りになろうとした。
「!」
しかし、バット男の体の力はれいんの華奢な体など問題としなかった。バットを手放し、そ
の空いた手で払い除けると、れいんは壁に叩きつけられていた。
「くっ!」
「…なんだあ、おめえ、女かあ……」
「そうだよ、悪いか!」
「…女にゃ、興味ねえなあ……」
バット男はそう言いながらゆっくりと立ち上がった。立ち上がり、そしてれいんに背を向け
た。
「帰るわ……じゃあな……」
「ちょっ……お前それでいいの!?」
「おら……男の子殴るのだけが楽しみなんだあ……女の子じゃあただの弱い者いじめじゃねえ
か……」
バット男は金属バットを拾い、のしのしと歩き出した。
れいんは、暫くそこで立ち尽くしていた。
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