第一話 拾い犬れいん

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目覚ましは窓の外に飛び出し、数十メートル先の道路に落ち、憐れその身を散らした。 「ははは! どうだ!」 「バーカ」  男は、寝起き特有の声で言い放った。れいんは首を回して後ろを見て、 「雄一、起きたのか!」  と大きな声で言った。 「朝からうるせえなあ……」  雄一と呼ばれた男は、大欠伸を一つした後に言う。 「…れいん。お前、今のは駄目だろ」 「なんでだよ! あたしは安眠を妨害する陰険なあいつを黙らせてやったんだよ!」 「ありゃ必要悪だろが」 「必要悪?」 「嫌だけど、なくちゃならないもの。あーあー、どうすんだよ。また新しいの買わなきゃ」 「買う必要ないぞ」 「お前が起こす? 例の“一日一善”でか?」 「そう」  誇らしげな顔で貧相な胸を突き出すれいん。 「…いや、やっぱ買う」 「いいって!」 「お前の一日一善は、もっと有効に使いたい。というわけで……」 「わけで?」 「…コーラ買って来い」  雄一はれいんの手を握った。れいんの手には百円玉が二枚落とされた。
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