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「なっ…ーにやってんの!!」
男の左腕からポタリと赤い水滴が落ちた…。
それを見た小柄な少女は、頭数個分背の高い彼が持っていたカッターを、慌てて取り上げた。
それまでは普通に一緒に歩いていた、ごく普通のカップルだった。
しかし、急に男が立ち止まり、ポケットに入れていたカッターを取り出し自らの腕を何度も切り出したのだ。
よく見ると彼の腕には他にも幾多の傷がついていた。
恐らく彼がこんな事をしだしたのはこれが初めてではないだろう、だが今日はどうやらドコか違うようだった。
「ごめん…ヘレナ……違うんだ、違うんだ……。」
男は何か言いたそうな顔をして、彼女を傷つける事を言ってしまったのかただ「違うんだ」と呟く。
すると、ヘレナと呼ばれた少女の方も自らの腕を切りだした。
「もう、ダメだよ、やるなら私にやりなさいよバカ!! そんな事したら痛いんだから!!」
その傷のついた腕を彼に突き付け、"論点"が違う上に、どこか矛盾のあるソレを必死に訴える。
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