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ハァ…ハァ…ハァ………
「ハァ……、ここまで逃げたんだ…大丈夫だ」
今、一人の男が闇夜を走り抜ける。
その男…手に長く細い刃を持ち、その刃からは紅く濃い雫が滴り落ちる。
男の前にある光の無い街灯に小さい人影が呟く。
「クス。ねぇ…それで逃げてるつもりなの?」
「―――ッ!」
男は驚きで声も出ぬ様。
「ヤだなぁ…そんなに驚かないでよ。この国で法を破ったらどうなるか…くらいは知ってるでしょ?
鈴木 優さん」
齢12,3の少年は微笑を浮かべ続ける。
「―法を破るという行為は、死にたい…って事だよね?」
男は未だに状況を理解出来ずに戸惑い、手に持つ刃を少年に向けた。
間発入れず少年は冷笑し呟く。
「君は馬鹿かい?僕から逃げられると思っているのかな?」
少年はその男の突進をヒラリと避けると、背中から男の喉元にナイフを当て、右手を鳴らした。
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