①くび

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『いらっしゃいませ』 急に女たちの嬌声が聞こえた。 あぁ、やっぱりここへ、来たのか。 ……奇妙な納得が心に拡がった。 馴染みのクラブ『四季彩』 今も昔も店の様子は、少しも変わっていない。 エレベーターから厚い絨毯が敷き詰めてある。 ドアが開いた途端に華麗な別世界が拡がる。 眼が眩しさに慣れると、そこにホステス達の笑顔があった。 エレベーターの中が薄暗いのも、変化を付ける巧みな演出なのかも知れない。 室内の装飾は、赤と黒を組み込んだ複雑な模様。 じっと見ていると、また眩暈が襲ってくる。
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