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    手を握る。   繋ぐではない…   握る。     死人のように冷たい君の手。 真夏の夜とは思えないくらい………     君は 逝ってしまうんだね…。     廃ビルの屋上   沢山の花火が打ち上がる。   僕の心は君に届かない。     涙さえ出ない……。     廃ビルは 歪んで狂っている…。   人を死へ 誘い込む。       けれど……   蒼白で 車椅子の     すぐにでも 消え入りそうな綺麗に微笑む君     こんな 死の形もあるのかと………         頬から顎へ滑り落ちる 何かを感じながら     僕は 君を   優しく心に刻み付けた。  
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