無知

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  「あら、ひよこちゃん。いらっしゃい♪」   「あ、こんばんわ、マスター。」   クラブに入ると、マスターが話しかけてきたので、カウンターに腰を下ろしてみた。     ガッチリとした体つきなマスターだが、口調と仕草はどことなく女性的。   そして、舜也同様に あたしを「ひよこ」と呼ぶ唯一の存在。     「モスコミュールはいかがかしら?」   「あ、いただきますっ」     マスターがお酒を作り始めると同時に、あたしは人混みに目をやった。   来てないのかな…   しばらく目をこらしてみたが、目的の人物の面影はどこにもなかった。     「しばらく見ないのよ。」    
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