異変

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  「ひよ…こ? …はは、ひよこだ。」   抱き締めた愛しい人物が、優しく抱き締め返してくれた。   「舜也…よかった。心配してたんだから。」   色々言いたい文句があった。   何故急にいなくなったのか 何故電話に全く出なかったのか…     だけど、こうやって会えたから もうそれはどうでもいい   今はただ、こうしていたい       お互いに抱き締める腕を緩めることもなく、しばらくずっとそうしていた。   「ごめんな…。ごめん。」   耳のそばでそう呟く舜也の声   それさえも全て愛おしく、 あたしは初めて人の腕の中で、   「幸せだ」と思えた――――。    
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