日常の一部

2/6
前へ
/82ページ
次へ
  扉を開けると、まるでそこが異空間かのような世界が広がる。   ノリのいい音楽が響き、人々が賑わい、踊ったり酒を飲んだり。   決して柄のいい場所とは言えないけど、   あたしにとって、ここは癒される場所の一つ。     カバンと上着をロッカーに入れて、カウンターへと歩き出している途中、 奥の方から聞き慣れた声が聞こえた。     「ひよこ!ひよこー!」     大きく手を振りながら、クシャッとした笑顔で、舜也が人混みにうもれている。   「舜也ー!」   手を振り返すが、なかなか人混みから脱出できないようで、舜也の顔が見えては隠れてはの繰り返しだった。     このじれったい状況…   まるでロミオとジュリエットみたい―――…     そう思った瞬間、 あたしの体がズシッと揺れた。    
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加