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ついにこの空間から出て行く、俺。
ノブが嫌に冷たく、外は寒いんだなと思い出させる。
一気に捻ろうとした時、その言葉は聞こえた。
「またね、サンタさん!」
もう俺にはサンタを演じることは出来なくなっていた。
これだけは伝えたかった。俺の言葉で。
ぶっきらぼうで、口の悪い言葉。
「元気で……良い子にしてるんだぞ! そしたら来年も来てやるよ!」
そうしてドアを一気に開き、俺は出て行った。
閉める時の音は切なくて、もう違うんだなと思い知らせてくれる。
そう、俺の仕事は終わり。
――あの後の俺は、近くの公衆便所でスーツに着替え、SANTA本部への帰路に着いた。
雑に畳んだ服のせいで、鞄はふぐの様に膨らみ、俺の脚に当たる。
その音が心地よいリズムを作り、心がグルーヴ。
縦ノリでなく、横ノリ。
あまり好きではないコーラも、その時は凄く美味しく感じた。
何故かはわからない。
炭酸? 味? 雰囲気?
いや、もうそんな事はどうでも良い!
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