ＳＡＮＴＡ

この“特殊公務員”という言葉にもちろん聞き覚えは無い。
まあ、疑うのは全部読んでからで良いかと、とりあえず抑えたよ。

『あなたは特殊公務員候補に選ばれました。あくまで候補ですので試験に受からなければなりません。試験の日程は――』

怪しい。やっぱり怪しすぎる。
しかしながら、この“公務員”と言う言葉には魔法が宿っているのか、すごく魅力的に見えるのだ。
そうして俺は恐る恐る書いてあった電話番号に掛けてみることにした。

静かに響く呼び出し音の後、人の声が流れ始める。
本当に掛かったのだ。
すると、向こうの方から「特殊公務員候補の方ですね」と一言。
……手の凝ったいたずらだな、おい。

そのオペレーターの人と適当に話してみると、なんだか凄く真面目に返してきた。
その、ネタとかじゃなくてちゃんとした職らしいのだ。
その真摯な態度に心を許した俺は、その試験会場へ行くことに決めた。
明るい未来のために……。

――と、まあこんな感じで今に至る。
あの後、ちゃんと試験を受けに行き、見事に受かったのだ。
それが“特殊公務員SANTA”
カッコよくアルファベットで書いてあるが、すなわち“サンタクロース”可愛く言うなら“サンタさん”……。