SANTA

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こんなドジなサンタ居るかよ……。 だが、起き上がると男の子の笑い声は止まり、俺をじっと見つめている。   「ねぇ、サンタさんでしょ?」   ああこれはその、憧れとか、尊敬の目だ。 厳密には違うけど、一応俺は“サンタさん”なんだよな。 しかし物わかりの良い……。   「そうだよ! サンタさんだよ!」   うおお、なかなか恥ずかしいぞこの台詞。 もうさっさとプレゼント渡して帰ってやる!   そんな感じで、持っていた鞄からプレゼントを探す。 しかし……無いのだ。何も入っていない。 え、まさか忘れた? いやそんなはずは。   「そ、そういえば欲しいものは何だったかな?」   「うーんとね、僕、サンタさんとご馳走が食べたい!」   俺とご馳走!? そんなのでいいのか? ……いや、まず親は?   「オヤジ……いや、お父さんとお母さんは?」   「お仕事頑張ってるの!」   屈託の無い笑顔でそう答える。 見たところ小学校低学年のその子は、親が大好きなのだろう。 面倒くさいが……、よーし、やってやろうじゃないか。 俺がご馳走を作って、一緒に食べてやる。 なんだかんだで料理得意だしな。   「よし! じゃあサンタさんが作ってやる」   「じゃ僕も手伝う!」
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