第二章~余姚県~

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…朱桓が余姚県の長になって一年が過ぎようとしていた。 疫病も徐々にその勢いを弱め、今では落ち着きを取り戻してきている。 しかし、緊急時の対策に蔵を放出したため、県の財政は確実に悪くなっていた。 朱桓は自分の食べれる食糧すら後回しにして、太守と孫権に使者を送って談判し、納める分を軽減する交渉をしながら、何とか建て直そうとしていた。 士人と民衆はその事を知っていたから、朱桓が町を見回っていると、いつも食事を振る舞おうとした。 朱桓はあまりに空腹の時以外は、それすら受け入れずに言った。 「まだまだ皆体力をつけねばならないから、それを食べて滋養をつけるのだ」 そんな彼も、自分を慕って来る周蘭の用意したものだけは食べた。 「県長様は働きすぎです」 周蘭は心配するように、いつも言った。 「そんな事は無い。俺のような若輩者を皆が必要としてくれる以上、俺は休む訳にはいかんのだ」 朱桓はその食事を噛み締めるように食べながら言った。 しかし、人間無理は禁物である。 朱桓もついに過労で倒れてしまうのだった…
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