第三章~朱家軍~

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…呉郡の呉(蘇州)に拠点を置いた孫権は、漢の朝廷(すなわち曹操の上表により)から討虜将軍・会ケイ郡太守に任じられてから、優れた人材の収集に努めていた。 張昭・周瑜・程普ら孫策の代からの者に加え、魯粛や諸葛謹がその旗下に加わって、益々その集団としての力を強化していた。 ただその一方で、孫権にも悩みがあった。 それは中原に比べて、江東の人口の少なさにあった。 これはつまり国力、さらに兵力が、曹操に比べて大きな差がある事を意味している。 これはこの後もずっと、孫権を悩ます問題として残っていく事になる。 孫権が朱桓を呼び戻したのも、そうした事に対する政策の一環だったのである。 朱桓が呉に戻り、孫権に謁見を求めると、彼は喜びを隠さずにすぐに通すように伝えた。 朱桓は礼をとって言った。 「ただ今戻りました。」 孫権は頷いて言った。 「よくぞ戻った。余姚県での活躍は聞いているぞ」
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