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…各地を平定し、山越の討伐も一段落した朱桓は呉郡に凱旋した。
孫権も朱桓の活躍を喜んで、やがて彼を裨将軍〈ヒショウグン〉に昇進させ、新城亭侯の爵位を与えたのであった。
朱桓は一通りの手続きを終えると、余姚県に赴く事にした。
朱揮は不思議そうな顔をした。
「何をしに行くのですかな?」
朱桓は珍しく言い淀んだ。
「まぁ、ちょっとした用事で…」
司馬の周蘭はそれを見て、笑いを堪えるので大変だった…
…余姚県に着くと、彼を見知った住民は皆朱桓に声を掛けた。
「これは朱休穆様っ、お元気ですか?」
朱桓は微笑んだ。
「ああ、元気が一番の取り柄だからな」
彼は薬所に着くと、やや緊張した面持ちで扉を開けた。
来訪者に気付いた虞妙以は、薬の整理をしていた手を止めて振り向いた。
「あっ…」
虞妙以は喜びの笑みを浮かべた。
朱桓は言った。
「…待たせたな」
虞妙以は首を横に振った。
「いいえ、今この場に来て頂けたから、そんな事は忘れました」
虞妙以は嬉しさの余りに涙を浮かべた。
外にいた周蘭も、もらい泣きをしている。
「…俺について来るか?」
朱桓は手を差し出した。
虞妙以は何度も頷いて、その手を握った。
「もちろんです…ええ、喜んで…」
朱桓と虞妙以はお互いを見つめて、握る手を離さないように力を込めるのだった…
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