第一章~江東の朱氏~

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…三国時代、蘇州にある呉郡は主である孫家の発祥の地で、この地から幾人もの名士が現われ、歴史に名を残した。 後世、「呉郡の四姓」と呼ばれた名家がある。 顧・陸・朱・張の四家の事である。 呉の中核は元々、こうした有力な名士や豪族、勇敢な者達が集合して成立っていた。 魏の曹操は官位等の法令を基にし、蜀の劉備は仁侠的性格を軸にした国であった。 三国ともに、その国のあり方が異なっていたのである。 呉の主・孫権は父の孫堅、兄の孫策に似て、元々行動的で、古代から言われるようにじっと構えて、威信を保つのを本来好きな人物では無かった。 その証拠に、王位についてからも度々虎狩りに出かけて、重臣の張昭から諫められた事が一度では無かった。 そうした彼の気性から、有能な将軍は非常に大事にした。 罪があっても許したり、度々誉めたたえたりしたのである。 朱桓は、そんな孫権が朝廷から将軍位を与えられた時に、側仕えとしてその幕僚となった。
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