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この時まで全く普通の人だった沙雪も、優等生な末春も学校をフケるなんて初めてだ。罪悪感のドキドキと好奇心のドキドキとが重なって、くだらなかった日常から逃れられたような気がした。
いつもの世界とは全く違うと確信したから。
昼間の照りつける日差しの中、見回りの警官に見つからないように歩いて、また歩いて。
沙雪の思い描いていた目的地にたどり着いた。
そこは、夏の蒸し暑い日の光の届かない影をつくりだすトンネル。
ヒンヤリとした空気に、冷たいコンクリート。
自転車一台がやっと通れるくらいの小さなトンネル。人通りの多い国道が上を走るけど、
このトンネルはめったに人が通らない。言うなれば、穴場中の穴場なのだ。
寒気がするくらい冷たい風が吹き抜け、いかにもなアンダーグラウンドのストリート調の落書きが薄暗い壁を彩る。
ファック・ユー!
上等。
この場所はロストバージンにうってつけ。
「うわっ“初めて”で青姦?ほんとにインランなんじゃねーの、沙雪」
「そだよ。インランは余計だけど、何だかドキドキするね」
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