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ドキドキしすぎて心臓の鼓動が手先まで伝わって小刻みに震えてる。
もう、抑えきれない。
沙雪が攻めるかたちでキスをした。これも初めてのキスだったけど、お互いそのことを言わない。これが特別なわけじゃない。これから、別の誰かともしていくものだから。
何度も唇を唇に押し当てる。
感覚が麻痺しはじめた感覚。ありえないことじゃない。これは、非日常だけど現実。
思ったよりも想像してたような大きなショックなんかはなかった。
実験的に舌が口の中に入る。
もう一方の舌が絡まってくる。息をするのがしんどい。ディープキスもそんなにいいもんじゃなかった。
これならひとりエッチの方がかっこ悪いところを抜きにすれば、なんぼかマシかもしれない。
末春が口を離した。
「ちょっちょっと待って。ちょっと休憩」
末春があわてる。学校で見る末春はこんなあわてた表情なんて見せない。
笑えることに、いつもすかしているこの中学生男子は、怖さと動悸と好奇心とがごちゃ混ぜになって慌てふためいているのだ。
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