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いつものようにのんびり過ごしていた昼に事件は起こった。
「ねみぃ~…くそツマんねぇ~…暇ぁ~…」
だらだらと中庭に繋がる廊下を歩く。
ふと視界に西崎が通過していく。
何とも暑苦しい歩き方だ…嫌なモン見ちまったな。
そんな事を思いながら西崎を目で追っていると日陰になっている人気の少ない小道に入って行く。
手には袋を持っていた辺り飯でも食うみたいだな。
あっ。タチの悪そう奴らがニヤニヤしながら西崎の行った方向と同じ道を行った。
まあ。俺には関係ないし、アイツにある意味勝てる奴いねえし、教室でも戻るか~。
俺は教室に向かった。
が…歩くたびに気になりだした。
俺ん家は兄弟が多い。
だから兄弟喧嘩やらが多い。
その為に仲裁役にどうしてもなる奴が兄弟内で出来てしまう。それが俺だ。
なんで昔から関わりたくない他人同士の喧嘩等もなだめようとしたり駄目な時は鉄拳制裁の精神で気付いたら殴ったりする。悪い癖だ。
だが、それは田舎だったから許された部分もあるし、高校生になったら止めると決めた。
ここは心を鬼にして…
『いち兄、あの子助けてあげないの?』『穂【ミノル】いち兄だって大人の事情みたいなのがあるんだよ…な?…』
頭の中で淋しそうに大地【ダイチ】が呟く。
『見損なったぜイチ!』『いいんじゃない?だから余計、女にモテなくなるだけだし。』
秋兄と蜜柑姉の一言が聞こえてきた気がする。
『そうそう~。メンドイ事はほっとこうぜ☆』
頬にどデカイ紅葉の手形を着けた兄弟一モテるが兄弟一節操がなくて、いつも女にどつかれている義兄がウィンクをしている。
「ぎゃあああ~~!!」
俺は猛ダッシュでUターンをした。
走る俺の頭の中は一つの事で一杯になる。
頼む…間に合ってくれ!
俺の今後の為に…!!
と、西崎の心配をこれっぽっちもせずに自分の事で一杯、一杯だった。
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