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考え事をしながら、ぼぉっと猫の動作を眺めていると、キャットは悠然とダイニングの方へ歩き出した。
「どこに行くの?」
声をかけると、キャットはチラリとこちらを振り返った。
深緑色の瞳でこちらをじっと見つめて、ニャーと鳴く。
教えてやるからついてこいと言わんばかりの猫らしからぬ仕草が面白く、キャロルはその小さな背中について行ってみることにした。
ダイニングテーブルの前まで行くと、猫はまず椅子に飛び上がり、そしてテーブルに飛び乗った。
行儀悪いな‥
そんな気持ちで眺めていると、キャットは彼女が先程ポストからとってきた手紙の束を前足で器用にさぐった。
そしてその中から、あの白い封筒を見つけて、口にくわえた。
「それ‥」
手紙を忘れていた訳ではない。
一応祖母が帰るまで開けないで取っておこうと思っていたのだ。
だが、猫の思わぬ行動に俄然興味が湧いたキャロルは、テーブルの上にあるナイフを手に取った。
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