祖母の家

10/11
前へ
/231ページ
次へ
文字の上を視線が泳ぐ。 意味が全くわからない。 これは悪質な嫌がらせ? それとも祖母の遊びなのかもしれない。 「はぁ‥」 期待していた分、失望も大きい。 もしかしたらパーティーのお誘いかもしれないと思っていた自分が馬鹿みたいだった。 落ち込むキャロルにキャットが近づいてきて、封筒を前足で引っかいた。 【ガサッ】 「んん?」 変な音がして、封筒の中をのぞき込むと何かまだ入っている。 取り出すと、それはシルバーリングだった。 中央に大きな黒い石がはまっている。 ジッと見つめてみる。 その石の中は渦を巻くようにグルグルと動いているようで、真っ黒なのに濃淡が感じられて美しかった。 「きれい‥」 手紙は私宛てだし、これ私に、かな? どうしよう? どの指にするか迷ったが、大きいので親指にはめてみた。 やっぱりブカブカか‥ 外そうとしたその時、 【シュン】 指輪は一瞬で縮み、指にピッタリとはまった。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

590人が本棚に入れています
本棚に追加